
Webサイトの成果を最大化する上で、コンバージョン(CV)につながるフォームの改善は非常に大切な施策です。しかし、多くの企業が直面する課題が「フォームまで来たのに離脱されてしまう」「改善しても成果につながらない」といったあと一歩の壁。
こうした課題を解決するのが、EFO(エントリーフォーム最適化)ツールです。
この記事では、EFOの基本からツール選定のポイント、おすすめのサービスまでをわかりやすく紹介します。
EFOツールとは?

フォームの入力完了率を高める「EFO(エントリーフォーム最適化)」は、WebマーケティングにおけるCVR改善施策として広く知られるようになりました。
特に広告やSEOによって多くのユーザーを呼び込めていても、「フォーム入力での離脱」が原因で成果につながらないケースは少なくありません。その課題を解決する手段として、EFOツールの導入が注目されています。
EFO(Entry Form Optimization)の基本
EFO(Entry Form Optimization)とは、「エントリーフォーム最適化」の略称で、Webサイト上のフォームからの離脱を防ぎ、入力完了率=CVR(コンバージョン率)を高めるための施策を指します。
多くの企業がWebサイト上で資料請求やお問い合わせの窓口としてフォームを設置していますが、ユーザーが途中で入力をやめてしまうフォーム離脱は珍しくありません。実際に、フォーム到達者のうち5割以上が離脱してしまうという調査結果もあります。
EFOはこうした離脱を防ぎ、ユーザーがストレスなく最後まで入力できるよう、フォームを下記のように改善していく手法です。
- フォーム項目の簡素化
→ 本当に必要な項目だけに絞り、入力の負担を軽減する - エラーメッセージの明瞭化
→ どこで何が間違っているのかを、わかりやすく具体的に伝える - UIの改善(スマートフォン最適化など)
→ フォーム全体のデザインや操作性を見直し、スマートフォンなどからも快適に入力できるようにする
こうした工夫によって、ユーザーの離脱を防ぎ、最終的なコンバージョンの増加が期待できます。
なぜEFOがWebマーケティングにおいて欠かせないのか
Webマーケティングの最終的な目的は、売上の増加や事業成長に貢献することです。そのために多くの企業は、見込み顧客の獲得や商談の創出といった具体的な成果を得るべく、広告出稿やSEO対策、SNS運用など、あらゆる集客施策に時間と予算を投資しています。
しかし、どれだけ流入があっても、最終的な成果は「コンバージョン=フォーム完了」までたどり着いたかどうかで決まるのです。つまり、どんなに広告クリック単価が安くても、フォームで離脱されてしまえば、それまでの投資が無駄になってしまいます。
特に問題なのが、「あと数項目入力すれば完了」というタイミングでの離脱です。ユーザーは興味を持ってアクセスし、フォームを開いたにもかかわらず、ちょっとしたストレスや分かりづらさで離脱してしまう…こうしたもったいない離脱は、決して珍しいことではありません。
例えば、
- 入力項目が多すぎて面倒に感じた
- エラーメッセージがわかりづらく、修正できなかった
- スマートフォンでは入力しづらかった
- 住所や電話番号の入力が手間だった
このような理由で、ユーザーは何も言わずに離れていきます。
EFOは、こうした離脱を防ぎ、せっかく訪問してくれたユーザーの意志をスムーズに成果へと導くための対策です。フォームは、ユーザーとの最終接点であるだけに、ここを最適化することは、Webマーケティング全体の投資効率を高めるために欠かせないと言えるでしょう。
EFOツールの主な機能とできること

EFOツールには、「入力のしやすさ」を向上させる機能や、「どこで離脱が起きているか」を把握する機能、さらに「どの施策が効果的だったのか」を検証する機能まで、さまざまな改善アプローチが備わっています。
ここでは代表的な3つの機能を詳しく紹介します。
入力支援機能(リアルタイムエラー表示・自動補完など)
入力支援機能は、ユーザーがフォームをスムーズに最後まで入力できるようにサポートするための機能です。
代表的なものは以下の通りです。
- リアルタイムバリデーション(エラー表示)
ユーザーが入力ミスをしたときに、送信後ではなくその場で即時にエラーを表示する機能。
例:「メールアドレスの形式が正しくありません」など。
- 自動補完・入力サポート
郵便番号を入力すると自動的に住所が表示されたり、氏名のふりがなを自動入力するなど、手間を減らす仕組み。 - 入力欄のプレースホルダーや入力例の表示
「例:xxx@example.com」などがあることで、入力すべき内容が直感的にわかりやすくなります。
こうした機能により、ユーザーの心理的・物理的負担を減らし、途中離脱の抑制につなげることが可能です。
離脱分析・改善提案機能
この機能では、ユーザーがフォーム内でどこまで入力し、どこで離脱したのかを細かく可視化します。
例えば、
- どの項目で入力が止まったのか
- 滞在時間が長かった項目はどこか
- フォームページからの直帰率や離脱率の推移
これらのデータを分析することで、「どの項目がネックになっているか」「改善すべき箇所はどこか」が明確になります。
さらにツールによっては、離脱傾向に基づいた改善提案(項目の削除、並び替えなど)を自動で提示してくれるものもあり、社内に専門知識がなくても継続的に最適化を進めやすくなっています。
A/Bテスト・効果検証機能
A/Bテスト機能では、複数のフォームデザインや構成を同時に出し分け、どのパターンがより高い成果(CVR)を出すかを検証できます。
例えば、
- 「入力項目を5つにしたパターン」と「3つに減らしたパターン」を同時に出し分けてCVRを比較
- 「1カラムの縦長フォーム」と「2カラムでコンパクトにまとめたフォーム」でエンゲージメントの違いを測定
このように、実際のユーザー行動に基づいて改善の仮説検証を回していけるため、感覚ではなくデータに基づいた最適化が可能になります。
これらの機能を活用することで、EFOツールは単なる「フォームの見た目を整える」ためのものではなく、ユーザー体験と成果を同時に改善するマーケティング支援ツールとして機能します。
EFOツールの費用相場と導入パターン

EFOツールを導入する際に気になるのが「コスト」と「導入方法」です。ここでは、一般的な価格帯の目安と、内製か外部ツール導入かという選択肢について詳しく解説します。
初期費用・月額費用の目安
EFOツールの料金体系はツールごとに異なりますが、おおよその相場は以下の通りです。
- 初期費用:5万〜50万円程度
導入時の設計・初期設定・タグ設置サポートなどにかかる費用です。ツールによっては初期費用がかからないプランも存在します。 - 月額費用:1万〜20万円程度
機能の豊富さやサポート体制によって変動します。基本的なEFO機能のみ提供するシンプルなツールであれば低価格での運用が可能ですが、A/BテストやCRM連携、改善提案機能などが付いた高機能なものは月額10万円以上になるケースもあります。 - 成果報酬型や無料プランもあり
一部ツールでは「成果が出た分だけ課金される成果報酬型」や「簡易機能が使える無料プラン」を提供しており、初期投資を抑えて試験導入する企業にも向いています。
企業の規模や施策の本気度によって適した価格帯は異なるため、予算と目的を明確にした上で選定することが大切です。
自社開発と外部ツール導入の違い
EFO対策は、社内で独自にフォームを改善していく「内製」と、EFO専用ツールを導入する「外部ツール利用」の2通りがあります。それぞれにメリット・デメリットがあります。
【自社開発の特徴】
- ◎ フォーム設計を柔軟にカスタマイズできる
- ◎ 自社のUI・ブランディングに合わせた設計が可能
- △ 改善サイクルを回すにはエンジニアのリソース確保が必須
- △ 効果測定やデータ収集には別途ツール開発・連携が必要になる
【外部ツール導入の特徴】
- ◎ タグを貼るだけで導入できるものが多く、非エンジニアでも扱いやすい
- ◎ 分析や改善提案、A/Bテストなどがあらかじめ備わっている
- ◎ 導入後すぐにフォーム改善をスタートできる
- △ 自由度は限られる(ツールの仕様に依存)
結論として、スピード感をもって改善を始めたい場合や、社内に開発リソースが少ない場合は、外部ツールの導入が現実的です。一方で、長期的に自社システムとの統合や、オリジナルなフォーム体験を追求したい場合は、内製の選択肢も検討する価値があります。
どんな企業にEFOツールが向いているか

EFOはフォーム入力の利便性を高め、コンバージョン率を改善する施策ですが、あらゆる企業にとって効果があるわけではありません。導入のタイミングや現状の課題によって、向き・不向きがあります。
ここでは、EFOツールの導入が特に有効とされる企業のタイプや状況について詳しく解説します。
導入すべき企業の特徴
EFOツールは、特定の業界や業種に限らず、「フォーム離脱による機会損失が課題になっている企業」であれば、業態を問わず導入の価値があります。以下のような企業は、特に導入メリットを感じやすいでしょう。
- フォーム離脱が多く、CVRを改善したい企業
フォームを開いたのに途中で離脱されてしまう、入力完了まで至らないという課題を抱えている場合、EFOツールによる最適化で完了率の底上げが期待できます。 - Web広告やSEOで集客しているが、成果につながっていない企業
アクセス数はあるのに問い合わせや申し込みが少ない場合、フォームがボトルネックになっている可能性があります。EFOによって集客後のラストワンマイルを強化できます。 - フォーム改善のノウハウがなく、試行錯誤に時間をかけられない企業
EFOツールは、UI/UXのベストプラクティスが組み込まれているため、社内に専門知識がなくても効果的な改善が始められるのが魅力です。 - 初めてEFOに取り組む中小企業や、少人数でWeb運用をしている企業
手間をかけずに成果を出したい企業にとって、EFOツールはコストと労力の両面で優れた投資となります。
EFOだけでは効果が出にくいケースとは?
一方で、EFOツールだけではCVR改善や商談につながりにくいケースも存在します。特に以下のような状況では、EFOと併せて「接客」の視点を取り入れることで、より効果的な成果が期待できます。
- 情報収集中のユーザーが多いサイト
資料請求や問い合わせフォームにたどり着いたとしても、まだ比較検討中で「送信するほどではない」という段階のユーザーは少なくありません。こうした層には、フォームの最適化だけでなく、ユーザー心理に寄り添った声かけや補助的な説明が必要です。 - フォーム入力に対して心理的ハードルが高い商材
高額商品・サービス、契約前提の申し込み、BtoBの問い合わせなどでは、個人情報の入力をためらうユーザーも多く存在します。「あと一歩」を後押しする導線が必要になります。 - 比較検討が多く、競合サイトへの流出が激しい場合
フォーム離脱後に別サイトへ移動されてしまえば、再び接点を持つことは困難です。そのため、訪問中のユーザーにリアルタイムで接触できる手段があるかどうかが、成果を大きく左右します。
こうした場面では、EFOツールに加えて「Web接客ツール」を併用することで、接点のタイミングや質を高め、フォーム手前の離脱も含めた改善が可能になります。
EFOツールを比較する際のチェックポイント

EFOツールは多くの選択肢があるため、導入前には「どのツールが自社に合っているのか」を見極めることが大切です。
ここでは比較・選定時に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
操作性とUI/UXのわかりやすさ
ツールの使いやすさは、実運用において非常に大切です。特に以下のような点をチェックしましょう:
- 管理画面が直感的に操作できるか(クリック数が少なく済むか)
- 担当者がノーコードで設定・修正できるか
- 改善提案やA/Bテスト結果がグラフなどで視覚的にわかりやすく表示されるか
運用担当者がマーケティングや制作と兼務している場合、複雑な操作や設定が必要なツールだと定着しづらいため、「専門知識がなくても扱えるか」は重要な判断基準になります。
スマートフォン対応の最適化レベル
スマートフォン経由のアクセスが増えている今、モバイルでのフォーム入力体験がどれだけ最適化されているかは非常に大切です。
EFOツールによっては、PC表示は整っていてもスマートフォンに最適化されていない場合もあります。
以下のような機能が備わっているかをチェックしましょう。
- スマートフォン画面に合わせたフォーム表示の自動調整
- タップしやすい入力欄や選択肢
- テンキーや文字キーボードの自動切り替え(例:電話番号入力欄で数字キーパッドが開く)
モバイル最適化が甘いと、特にBtoC領域やECサイトなどでは大きなCVRロスに繋がる可能性があります。
設置のしやすさ・外部ツールとの連携性
導入のしやすさも、選定において軽視できないポイントです。以下のような観点で確認しましょう。
- 既存のフォームにタグを1行貼るだけで導入できるか
- CMS(WordPressなど)やフォームビルダー(formrun、Googleフォーム等)との相性はどうか
- CRM(Salesforce、Hubspotなど)やMA(Marketo、Pardotなど)とのデータ連携が可能か
ツールの多くは、外部サービスと連携することでユーザーの行動データを活用したスコアリングやリードナーチャリングも可能になります。今後マーケティングを高度化していきたい企業は、「ただのフォーム改善」だけでなく「周辺システムとの連携性」も必ず確認しましょう。
以上のポイントを踏まえて比較検討することで、「自社にとって運用しやすく、かつ成果につながるEFOツール」を選定しやすくなります。
EFOツールおすすめ7選

ここからは、実際におすすめのEFOツールを7つ紹介します。フォーム改善を目的としたツールだけでなく、フォーム手前の離脱にアプローチできる新しい視点のサービスもあわせて取り上げていきます。
自社の課題や導入目的にあわせて、より良いツール選びの参考にしてください。
EFO CUBE|多機能で使いやすい定番ツール
EFO CUBEは、EFO市場でも老舗の位置づけにある定番ツール。豊富な機能と安定した運用実績が特徴です。
- ユーザーの離脱ポイントを可視化できる離脱ログ機能
- ページのどこが読まれているかを確認できるヒートマップ
- フォーム構成や表示内容を比較できるA/Bテスト機能も搭載
フォーム改善を体系的に進めたい企業にとって、信頼性の高い選択肢です。
formrun|フォーム作成×EFOのオールインワン
formrunは、フォーム作成機能とEFO機能をセットで提供するオールインワン型ツールです。ノーコードで使える操作性と導入の手軽さが人気の理由。
- テンプレートを選ぶだけでフォームを簡単に作成可能
- タグを貼るだけでEFO効果を加えられるシンプルな実装設計
- 自動でエラー通知やバリデーションも可能
中小企業やスモールスタートをしたい企業にも向いています。
Gyro-n EFO|広告連携が強みのEFOツール
Gyro-n EFOは、Web広告の効果測定やLP運用と連携できる点が特徴です。マーケティング施策全体との親和性が高いEFOツールとして、広告運用担当者から高い評価を得ています。
- LPとの統合管理によりコンバージョンデータの一元管理が可能
- Google広告やYahoo!広告と連携し、効果測定を効率化
- フォームの改善と広告最適化をセットで進めたい企業におすすめ
KARTE|UX重視のフォーム最適化
KARTE Formは、ユーザー体験(UX)の向上を重視したEFOツールです。見た目の美しさと高いカスタマイズ性により、ブランディングを重視する企業にも適しています。
- 自由度の高いデザインと直感的なUI設計
- ユーザー属性に合わせてフォームを変化させるパーソナライズ機能
- サイト全体とのUX統一感を重視した設計が可能
ECやアパレルなど、デザイン重視の業界に特におすすめです。
Tayori|中小企業向けの簡易EFOツール
Tayoriは、FAQ機能や問い合わせフォーム作成などの顧客対応支援を目的とした簡易EFOツールです。低コストで導入しやすく、小規模なWebサイトでも活用されています。
- ノーコードで問い合わせフォームやアンケートを作成可能
- よくある質問と連携し、ユーザーの不安を事前に解消
- 導入・運用のハードルが非常に低いのが魅力
まずは手軽にEFO施策を始めたい中小企業に適しています。
instapage|フォーム付きLPのA/Bテストに特化
instapageは、ランディングページ(LP)制作とA/Bテストを得意とするツールです。フォーム単体ではなく、ページ全体の最適化を図りたい企業に向いています。
- ドラッグ&ドロップでLPとフォームを同時に作成
- テスト機能が豊富で、複数のバージョンを同時に比較可能
- EFOとLPO(ランディングページ最適化)を一体運用できる
広告運用やLPOに力を入れている企業に適したツールです。
OPTEMO|リアルタイム接客でフォーム手前の離脱を防止
OPTEMOは、フォームにたどり着く前のユーザーに対してアプローチできる数少ないツールです。有人チャットや音声通話を活用し、フォーム入力に迷っているユーザーに企業側から今この瞬間に声をかけることが可能です。
- リアルタイム行動解析により、ユーザーの関心度(温度感)を可視化
- チャット・通話をワンクリックで開始可能(個人情報不要)
- SalesforceやHubspotなど、主要なCRMと連携可能
- 専任担当者が導入から運用・改善までをサポートする伴走体制
特に高単価商材を扱うBtoB企業において、リードの取りこぼしを防ぐための有効な手段として支持されています。
まとめ|フォーム改善だけで終わらない、CVRと商談を伸ばす視点を

EFOツールは、CVR改善の基本施策として広く活用されていますが、フォーム手前で離脱してしまうユーザーへの対応が、これからの課題です。
OPTEMOのような接客型のアプローチを組み合わせることで、情報収集段階のユーザーとの接点を持ちやすくなり、結果として問い合わせや商談化につながる可能性も高まります。
以下の資料では、OPTEMOの機能や活用事例について詳しく紹介しています。自社に合う活用法を検討するためにも、まずはぜひ資料をご覧ください。