株式会社OPTEMOが運営しているインサイドセールス研究会というコミュニティでは、毎月オフラインイベントを開催しております。
今回のレポートは、2024年5月17日(金)に渋谷に位置する千葉道場コミュニティスペースで開催されましたインサイドセールス研究会の内容をまとめておりますので、ぜひご覧ください。
今回のテーマ
今回のイベントでは、株式会社コンカー マーケティング本部の山崎様(@Zakki10158896)をゲストにお迎えし、「ターゲット別開拓戦略 エンプラから中堅中小の攻め方事例」をテーマで講演いただきました。モデレーターはOPTEMO代表の小池桃太郎(@MomotaroKOIKE)が務めました。
最初の挨拶にて「コミュニティのGIVEの精神に則って可能な限り情報を共有できれば」という山崎様のお言葉を頂き、感謝の念に堪えません。
今回のインサイドセールス研究会へのお申し込みは、合計で50社71名でした。
今月も多くの方にお越しいただきました!
ターゲット別開拓戦略 エンプラから中堅中小の攻め方事例
今回のご講演では、コンカーの変遷をご紹介いただいた後、大手企業、中堅・中小企業それぞれに対する開拓戦略、更には失敗談とその教訓まで、ご自身の経験をベースにご共有いただきました。
エンプラから公共まで!コンカーのIS組織拡大の軌跡
コンカーの変遷に関するお話では、IS組織の拡大の流れが取り上げられました。
初期段階では、大手企業を対象にチームではなく、主に個のスキルで商談を獲得。対して、2018年以降では中堅企業・公共機関などの他業界に参入し、各分野を専門とするISの誕生を含め、組織が拡大するにつれ、徐々にチームとして活動することが増えたとのこと。社内外の連携先の増加やチーム内でのナレッジシェアが進んでいったとのことです。現在はIS組織の業務範囲を自ら広げるアプローチを取られているとのことでした。
個社個別戦略の徹底:大手企業向けアプローチ手法の変遷
アプローチ方法
コンカーのサービスは人数が多いほど導入効果が最大化するため、創業当初は従業員数3,000人以上を中心に、IRから役員情報を調べてアウトバウンドコールを実施するといった、一般的なアプローチを採用していたとのことでした。
2018年以降では、セグメンテーションを従業員数規模ではなく年商規模に変更。働き方改革を背景に、多くの従業員が携わる身近な業務の1つである経費精算のデジタル化の関心が高まったこともあり、経理だけではなくIT・人事部門の方にもアプローチを重ねていったとのことです。
後期ではベンチマークとしていた「時価総額トップ100企業」への導入状況が好調なため、ターゲットレンジを拡大し、個社個別戦略で、業界テーマ・各企業の今後の経営テーマと関連付けながらアプローチをしているとのことでした。
具体的事例
戦略における具体的事例として、チームセリングとナーチャリング、カバレッジ拡大を取り上げていただきました。
チームセリングに関しては、チーム内の複数名がお客様とそれぞれ接点を持つ「コミュニケーションパス」の重要性について言及。ISにおいても商談に同席をすることで、お客様と顔見知りになっておくことで、メールの返信率が高くなる、大手企業特有のお作法などを教えてもらえる、役員の方へ適切なご案内ができる、といった利点があり、個人的におすすめしているとのことでした。
ナーチャリングに関してはテーマとタイミングが重要とのこと。大手企業の場合、中期経営計画などを見ることで、関心度が高くなっているテーマを把握し、方針を立てることができるとお話されています。
タイミングに関しては、有益な情報の蓄積などを鑑みて最後に訪問してから6~9ヶ月以上期間を開けて訪問すると良いとのことでした。また、新しいテクノロジーの台頭や法整備などの外的環境が変動する時期は、自社に関連するニュースをベースに良い提案ができるのであればアプローチのタイミングとして適切になりうる、とお話されていました。
カバレッジ拡大に関しては、IS起点でアライアンス・マーケティング・カスタマーサクセスなどの部門を連携させていくことが重要とお話されています。アプローチしたいキーマンにどのような形の提案なら興味・関心を持ってもらえるかを考え、ISの役割にとらわれずにアイディアを考え、地道に活動の幅を広げていくことが必要とのことでした。
質の担保を優先する
山崎様自身がISになりたての頃の新規開拓における失敗談として、質と量に関する問題が取り上げられました。早期に成果を出す、経験を積むためにまずシンプルに量を増やそうとした結果、大手企業の担当であるがゆえに早々にアプローチ先が無くなりかけるという事態が発生したそうです。「量と質は両方大事だが、原則は質を担保する。質を担保しながら量を出す」といったことが重要だと考え、時間がかかってもIR資料を読み込むなど、確実さを重視したアプローチで解決することができたと語られています。
質の担保方法としては1案件15分と時間制限を設ける手法が紹介されましたが、実質的には経験曲線効果による効率化を見越して、納得するまで調べる形となっていたそうです。
嫌われる危険性
もう1つの失敗談として「嫌われることの危険性」についても言及いただきました。山崎様が担当することになった企業のあるお客様で諸事情により最後にお会いしてから3年間程アポイントがいただけていない、という事実を発見。大手企業において「嫌われない」ということがもっとも大事であると実感したと語られています。嫌われてさえいなければその時点ではお断りされても、イベントのご案内などをきっかけに間を開けて再度アプローチできるからだそうです。
詳細なセグメント分け:中小企業向けのアプローチ
コンカーではターゲットとする中堅企業の定義を年商規模と従業員数の掛け合わせで設定しているとのことでした。
2018年以降からは明確に中堅企業を担当するISが誕生。主なアプローチ対象は「導入効果が大きく期待できる、まだ経費精算サービスを導入していない企業」としていたとのことでした。
後期ではABMを実践するとともに、交通費に関する効果が大きいことから地理的商圏などに特化したアプローチを行っていたそうです。コロナ禍の影響で他のサービスを直近に導入済みの中堅企業も増えており、以前と比較するとすぐに関心を持ってもらうことは難しくなっているとのことでした。
具体的事例
中堅企業における具体的事例として、CxOレターとデジタルツールの活用方法を取り上げていただきました。
CxOレターでは、「4つの不」を払拭するような構成を意識し、工夫しているとのこと。
具体的には、不信を払拭するために「どんな企業なのか、どんなことをしているのかの説明」、不急に対して「現在の時流に根ざした訴求」、不適に対して「業界シェア率、同業他社の導入事例」、などを含めているとのことでした。
活用しているデジタルツールとして、「Highspot」「Reprise」の2つをご紹介いただきました。
HIGHSPOTはお客様専用のウィキ型ページを作成できるツールで、中堅企業を対象に、初回商談にて全般的に必要な資料を送信、各機能に関して動画を用いてわかりやすく説明する、という活用方法をご紹介いただきました。
Repriseは簡易的なデモを作成できるツールとなっており、商談の中でサービス資料とデモが見たいという声に対応可能だとお話されています。
お客様が自分で操作できるデモを提供し、操作感や画面構成を理解していただくことに役立つと語られていました。また、視聴情報が把握できるため、お客様の関心状況に応じたフォローができる点を1つのメリットとして挙げられていました。外資系企業であることもあり、グローバルで使われているツールが日本に共有され、
活用を開始したそうです。
中堅企業での失敗談
中堅企業へのアプローチで発生した失敗談として、「CxOレターの切り口」「ノックアウトファクター」の2点をご共有いただきました。
業界単位でのレター作成
大手企業での成功事例をベースに、中堅企業を対象としたCxOレターを作成した際、企業数が多く、調査できる情報が限られるといった要素を鑑み、切り口を広げて大きなテーマを趣旨としたレター作成を行ったところ、ものの見事に関心を持ってもらえずに失敗してしまったそうです。
この反省を活かし、個社個別の作成は難しいにせよ、業界まで切り口を絞り込むことで、一定の成功を収めるまで改善できたと語られています。
興味関心に応じたアプローチ:中小企業向け
中小企業向けのアプローチ方法としては、従業員数〇〇〇名未満と定義し、一般的なSDR活動に加え、BDR的活動も試行錯誤しつつ実施中とのことです。
大手企業と同様に、アカウントからセグメンテーションを実施、デジタルツールを活用して数を絞り込み、興味関心、反応を持っていただけている会社に対してアプローチを実施しているそうです。
「海外の本社が使っているので外資系の企業では導入していただきやすい」をはじめとして、データを細かく見る中で中小企業ならではの特性が見つかることが興味深い、とお話されていました。
交流会の様子
ご講演および質疑応答が終了し、第二部の交流会がスタートしました。インサイドセールス研究会の交流会では、毎回「新しい体験を提供する」というテーマのもと、参加者に特典としてちょっとした品物やサービスをプレゼントしています。
今回は、2024年1〜3月期連結決算にてついに最終黒字転換を達成した有名スタートアップ「ユーグレナ」様が販売中の「からだにユーグレナ フルーツグリーンオレ/旬摘みスッキリいちごオレ」をご用意しました。
最後に
全てを載せきれないことが残念ですが、終了後にXやLinkedInに多くの感想をお寄せいただきました。中には、当日の内容を長文で書き起こしてくださる方もおり、非常に嬉しいです。OPTEMO一同、すべての感想に目を通しています。
また、今回素晴らしい会場を提供してくださった千葉道場様に心から感謝申し上げます。
次回予告
次回のインサイドセールス研究会は、株式会社ログラス エンタープライズ統括部 部長
の高橋 優斗様をゲストに迎え、6月13日(木)19:00-21:00に渋谷で「トップセールスから見た背中を預けたいインサイドセールスとは?」というテーマで開催します。
▼参加申し込みはこちらから:
https://share.hsforms.com/1VVWwJsrsRBSrUk0VqVgn_gcqns4
次回のインサイドセールス研究会で多くの皆様とお会いできることを楽しみにしております。
インサイドセールス研究会について
インサイドセールス研究会は、『会社を超えてインサイドセールス同士が繋がり「師と友」を作れる場』として株式会社OPTEMOが運営しているコミュニティです。
インサイドセールスという業務の性質上、社外での横の繋がりが少ないという声を受け、2023年3月からこのコミュニティの運営を始めました。毎月1回、特別なゲストを迎えて実践的なノウハウを提供しています。また、Facebookのグループで情報発信もしており、誰でも無料で参加できます。