マーケティングDXの成功事例3選|推進の流れとよくある壁
「顧客接点が増えているのに、部門ごとにデータがバラバラで全体像がつかめない」「MAツールを導入したのに、思うように成果につながらない」といった悩みを抱える企業は少なくありません。デジタル化が進み、顧客との接点が多様化する一方で、それらを活かしきれていない企業も多く見られます。
こうした課題に向き合う手がかりとなるのが「マーケティングDX」です。
本記事では、マーケティングDXの基本的な意味から、推進の流れ、実際に成果を上げた3社の成功事例、そして推進時によくある壁と、その乗り越え方までを順に解説します。
マーケティングDXとは

マーケティングDXとは、デジタル技術とデータ活用によって、マーケティング活動の構造そのものを変革する取り組みを指します。
単に新しいツールを導入することではなく、顧客理解や意思決定の仕組みをデータドリブンなものへと変えていく、組織的な変革である点がポイントです。
デジタルマーケティングとの違い
マーケティングDXと混同されやすい言葉に「デジタルマーケティング」があります。デジタルマーケティングは、Web広告の運用やSNS活用、メール配信といった、デジタル上で完結する個別の施策を指す言葉です。
一方のマーケティングDXは、こうした個別施策の実行にとどまらず、部門を横断したデータ基盤の整備や、顧客理解に基づく意思決定プロセスの変革までを含む、より広い概念です。デジタルマーケティングは、マーケティングDXを構成する数ある施策の一つと位置づけられます。
両者を同じ意味で使ってしまうと、施策レベルの話と組織変革レベルの話が混同されやすいため、区別して理解しておくことが大切です。
マーケティングDXが求められる背景

なぜ今、マーケティングDXがこれほど重要視されているのでしょうか。その背景には、顧客接点をめぐる環境の変化があります。
顧客接点の多様化とデータ活用の必要性
Webサイト、SNS、広告、展示会、営業訪問など、顧客との接点は年々増え続けています。
接点が増えること自体は機会の拡大につながる一方で、接点ごとに情報が分断されたまま管理されていると、一人の顧客がどのチャネルでどのような行動を取ってきたのか、全体像を把握できません。
その結果、営業担当者が把握していない情報をマーケティング部門だけが持っていたり、逆に検討が進んでいる顧客へのアプローチが遅れたりといった機会損失が生まれます。散在するデータを統合し、部門を横断して顧客理解を深める体制を整えることが、多くの企業にとって避けて通れない課題になっています。
マーケティングDX推進の流れ

マーケティングDXは、一度の施策で完結するものではなく、段階を踏んで進めていく必要があります。ここでは基本となる3つのステップを紹介します。
現状把握と目標設定
まず取り組むべきは、自社の顧客データが現在どこに、どのような形式で存在しているかを棚卸しすることです。
部門ごとにExcelで管理されている、システムに散在しているなど、現状の課題を可視化したうえで、商談化率の向上、売上拡大、業務工数の削減など、DXによって達成したい目標を具体的に設定します。
施策の設計と実行
現状と目標のギャップが明確になったら、そのギャップを埋めるための施策を設計します。
MA(マーケティングオートメーション)による見込み顧客の育成自動化、CDP(顧客データ基盤)によるデータ統合、BIツールによる分析の高度化など、課題に応じて必要なツール・施策を選び、実行に移していきます。
効果検証とロードマップの見直し
施策を実行したら終わりではなく、設定した指標に対してどれだけの効果が出たかを検証することが欠かせません。
検証の結果をもとに、次に着手すべき施策やロードマップを見直し、継続的に改善を重ねていくことで、マーケティングDXは組織に定着していきます。
マーケティングDXの成功事例3選

実際にマーケティングDXへ取り組み、成果を上げた3社の事例を紹介します。
名刺情報のリスト化だけでは限界があった商談化率を、MA導入で向上(江崎グリコ株式会社)
江崎グリコ株式会社は、菓子製品を活用した「法人ノベルティ」事業(年間100万個超の出荷実績)を展開しています。以前は営業担当者が集めた名刺情報や電話問い合わせなどをExcelでリスト化し、訪問営業をかける新規開拓が中心でしたが、顧客の購買タイミングに合わせたアプローチが難しく、商談化に至らないケースも多かったといいます。
そこで2016年、Account Engagement(旧Pardot)を導入。ペルソナマトリックスの作成やターゲットに応じたコンテンツ(ノベルティ成功事例、業種別活用事例など)の充実を進め、資料ダウンロードから商品カタログ誘導までのナーチャリングフローを構築しました。
Salesforce公式の事例ページによると、この取り組みの結果「現在ではリード全体の1/4がWebサイトからのもの」となり、Webサイト経由のリードは成約率も高いことが確認されています。また、災害対策用の備蓄食品事業では「問い合わせからの受注率が100%」に達したと紹介されています。
(出典:Salesforce「江崎グリコ株式会社」導入事例)
来客予測AI・BIツールで5年で売上5倍・利益率10倍(有限会社ゑびや)
三重県伊勢市で食堂を経営する有限会社ゑびやは、2012年当時、業務が紙ベースで管理されており、仕入れや人員配置の判断も経験や勘に頼っていました。
そこで来客予測AI(定点カメラによる画像解析で通行客数・来店客数を測定)と、自社開発のBIツール(売上分析・顧客属性分析・原価分析など)を導入し、データに基づく経営へと転換しました。
techplay.jpの記事によると、3年間かけて約400項目のデータの相関関係を分析し、天気予報などの外部データと組み合わせた結果、来客予測の的中率は95%を超えるまでになったといいます。
2012年からの5年間で「売上5倍、利益率10倍」を達成したほか、需要予測の精度向上により米の食品ロスも約90%削減されたと報告されています。
(出典:TECH PLAY「有限会社ゑびや」記事)
PEDALA RIDEWALK販促DMでROI前年比125%、売上計画比142%を達成(アシックスジャパン株式会社)
アシックスジャパン株式会社では、POS・ブランドサイト・ECなど各チャネルの顧客データが分散しており、「実は顧客をよく理解できていなかった」という課題を抱えていました。
そこで富士フイルムビジネスイノベーションのマーケティング支援サービス「Marketing Cockpit」を導入し、データ分析に基づいたクリエイティブの改善や、短期的な集客から中長期的な顧客育成へのシフト、店舗とEC間の相互送客シナリオの構築などに取り組みました。
紹介事例によると、こうした一連の取り組みの成果を測る一例として、「PEDALA RIDEWALK」の販促DM施策では、ROIが前年比125%、売上計画比142%を達成したと報告されています。
マーケティングDX推進でよくある壁

成功事例がある一方で、マーケティングDXの推進では、次のような壁につまずく企業も少なくありません。
部門間の連携不足
マーケティング部門が獲得したデータや知見が営業部門に共有されず、逆に営業部門が持つ顧客の生の声がマーケティング部門に伝わらないなど、部門間の連携不足が壁になるケースがあります。
データ基盤を整えても、部門をまたいで活用する運用ルールが伴わなければ、施策は部分最適にとどまってしまいます。
ツール導入がゴールになってしまう
MAやCDPといったツールを導入すること自体が目的化してしまい、実際の活用・運用にまで手が回らないケースも少なくありません。
ツールはあくまで手段であり、導入後にどう使いこなすかを見据えた計画がなければ、投資に見合った成果は得られません。
現場が使いこなせない
新しいツールや仕組みを導入しても、現場の担当者がその操作や活用方法に習熟できず、定着しないまま形骸化してしまうこともあります。
ツールの導入と並行して、現場への教育やサポート体制を整えることが、マーケティングDXを機能させるうえで欠かせません。
検討中の顧客を逃さない、有人対応という選択肢

マーケティングDXによってデータ活用が進んでも、Webサイトを訪れた顧客の「今まさに検討している」という温度感までは、ツールだけでは捉えきれないことがあります。
資料請求フォームの入力直前で立ち止まっている訪問者がいても、多くの場合、企業側はその存在に気づけないまま離脱を迎えてしまいます。
OPTEMOでリアルタイムに接点を持つ
こうした課題に対応するのが、有人型のチャットツールOPTEMOです。
OPTEMOは、訪問者がどのページをどれくらいの時間閲覧しているかをリアルタイムで検知し、関心が高まったタイミングで担当者がチャットや音声通話で直接コミュニケーションを取れる仕組みを備えています。あらかじめ決められた回答を返すチャットボットとは異なり、人が直接対応するため、訪問者一人ひとりの状況に応じた案内ができる点が特徴です。
実際の導入事例としては、人材業界の株式会社テックオーシャンが、人事担当者の「検討している瞬間」を捉える営業活動によって商談化率90%を達成しています。
またSaaSを提供する株式会社アンドパッドでは、温度感の高い訪問者とのコミュニケーションにより、導入からわずか3か月でROI300%を達成しました。マーケティングDXによって整備したデータ基盤に、こうしたリアルタイムの有人対応を組み合わせることで、これまでツールだけでは取りこぼしていた検討層への機会損失を防ぎやすくなります。
(出典:OPTEMO導入事例「株式会社テックオーシャン」、OPTEMO導入事例「株式会社アンドパッド」)
まとめ

マーケティングDXは、ツールの導入自体が目的ではなく、データを起点に顧客理解と意思決定の質を高めていく取り組みです。江崎グリコ・ゑびや・アシックスジャパンの事例が示すとおり、正しく推進できれば商談化率や売上の向上につながる一方、部門間連携やツールの定着といった壁にもつまずきやすいテーマです。
データ活用を進めながらも、Webサイト上で検討したまま離脱してしまう顧客を取りこぼしている可能性に課題を感じている場合は、訪問者の行動をリアルタイムで把握しながら有人で対応できるOPTEMOの活用事例が参考になるかもしれません。
OPTEMOの具体的な機能や導入事例については、こちらの資料からご確認いただけます。
OPTEMOの特徴や活用方法をまとめた資料です。
導入検討の初期段階でもご覧いただけます。
導入をご検討の方は、こちらからご連絡ください。担当者がOPTEMOについて詳細にご案内します。
面談予約はこちらから